幸せまでの距離


幼稚園に通っていた頃、リクは 色々な物をメイに渡してきた。

自由時間に書いた景色のイラスト や、グラウンドで拾った綺麗な 石。

紙ねんどで作った動物。

『メイ、これあげる!』

『いらない』


メイが断ると、リクはこりずに違 う物を書いたり拾ったり作ったり して、再びメイの元に持ってき た。

『石も、絵も、動物もいらないか ら、メイ、優しいお母さんがほし いよ』

一度、リクに向かって口にしたこ とがある。

その頃からリクは、メイの寂しさ を見抜いていたのだろう。

迷いのない瞳で、

『いいよ。メイがほしいのなら、 僕のお母さんをあげる。

メイがほしいものなら、何だって あげるよ』


幼き日のリクの言葉を思い出し、 メイは鼻で笑った。

“あの頃からリクは、私にいろん な物を与えようとしてくれてたっ け……”

リョウのことを好きになった気持 ちも、本物。

それと同じくらい、リクに対して も愛しい気持ちが湧いている