幸せまでの距離


リクと別れてもメイは平然として いたが、心の中までもがそうかと いったら、そうではないとミズキ は考えている。

ただでさえ、両親から愛されず、 周囲の大人達から裏切られ続けた メイ。

幼い頃から関わってきたリクだけ が、唯一、彼女の心のよりどころ だったに違いない。


リクも、前にこう言っていた。

昔のメイは、リクにだけは心を開 き、自分を出していた、と……。


“リク君までいなくなったら、メ イは……”

その結末を想像するのが、こわ い。


人が自ら死を選ぶのは、苦しい時 や悲しい時といった、精神的に追 い詰められた時だけとは限らな い。

誰の心にも膨らむ可能性がある、 無気力や孤独感。

『生きていく意味などない』

『私は独り』

『いつ死んでも、かまわない』

『私がいなくなったって、誰も困 らないだろう』

心の内側に少しずつ募ったそう いった静かな感情が、人を死に追 いやる。

メイがリクを失うことで背負う孤 独は、彼女が自覚している以上に 大きなものではないだろうか?

ミズキはそう思えてならない。

出来れば一刻も早くリクに会い、 話がしたい。

どうか彼に、メイを見放さないで ほしい。

ミズキは強く願った。