次第に、睡魔がやってくる。
小さく寝息を立てるメイの髪をな で、ミズキは思った。
“メイのこと、もっと早く助けて あげたかった……。
もっと早く、出会っていたかっ た……”
虐待によって深く傷つけられる前 に、メイを救いたかった。
人は、傷つくことで他人の痛みを 理解することができる。
生きる上で、無駄な経験など無 い。
喜びだけでなく、傷ついた経験も 栄養にして、それまでの何倍も強 く生きていける。
ミズキは自らの経験からそう考え ているが、メイに関する考え事を していると、その考えを歪めなく てはならなかった。
メイは傷つき過ぎている……。
負わなくてもいい傷も、世の中に はたくさんあるのではないだろう か。
出来ることなら、傷つく経験は少 ない方がいいのかもしれない。
ミズキは、これ以上メイにつらい 経験をさせたくないと思った。
“傷つくばかりでは、立ち上がる 気力すら削られてしまうよ。
……中学時代のリョウも、メイを 見てこんな風に考えてたのか な?”
夢の中に身をまかせたメイは、安 やらな顔をしている。
子供のように、無邪気な寝顔。
そこからは、彼女が受けてきた数 多くの恐怖など連想できない。


