「……おう。どうした?」
トウマは無気力ながらもそれを隠 し、いつも通りの口調でカナデか らの電話に出た。
『あのね、今から会える?
大事な話があるから……』
「……いいよ」
カナデはいつになく神妙な声だっ たが、トウマはさしてそれを気に しなかった。
1時間後、二人はトウマの自宅ア パートで会うことになった。
駅から戻ったトウマは、風呂も入 らず食事もとらず、カナデが訪ね て来るのを待った。
テーブルの上には、数冊の求人雑 誌。
メグルと付き合うからにはまとも に働かなくてはならないと思い、 ひっそり就職活動をしていた。
バイトでもいいから、カナデに頼 らず自活できるように。
しかし、メグルにフラれた今と なってはどうでもいいこと。
トウマはうつろな瞳で、求人雑誌 をゴミ箱に捨てた。
何もせず、両手で頬杖をつきボン ヤリしていると、カナデがやって きた。
インターホンは押さず、彼女は普 段通り合鍵を使って中に入ってく る。


