幸せまでの距離


メグルは思った。

トウマと別れたことは少し寂しい けれど、当分恋愛できなくてもか まわない、と。

仕事を頑張って、家族や友達と楽 しく過ごせたらそれでいい。

メイもいる。

カナデが店に電話をしてきて自分 の変なウワサが広まったとして も、もう、かまわない。

“メイがああ言ってくれたおかげ で、あたし、前に進めそうだよ”

トウマに強い態度を取ったのは、 もう彼と関わりたくなかったとい うのもあるが、それ以上に、彼に 目を覚ましてほしかったからだ。

これからは現実を見て、周りに対 して誠実な生き方をしてほしい。

“ま、昔ばあちゃんに隠れて悪い ことばっかやってたあたしが、偉 そうに言えることじゃないけど ね”

車内から見える夜景は、メグルの 気分を映し出しているようだっ た。

真っ暗闇の中、まばらに散らばる 建物の明かり。

どこか物悲しいけれど、それに押 し流されまいと、今のメグルは前 向きな気持ちだった。

自分が引いたことでカナデとトウ マの関係にどう影響するのかは分 からないが、少しでも二人の気持 ちが良い方向に向きますようにと 願った……。