幸せまでの距離


「もう、夢を叶えるなんて無理だ ろなって諦めてたけど、メグル ちゃんと知り合ってから、やる気 が湧いたんだ。

毎日、居酒屋の仕事を頑張ってる メグルちゃんに、励まされてた。

元気なメグルちゃんを見てたら、 舞台俳優を目指し始めた頃の純粋 な気持ちを思い出すことができた んだ」

にごりのないトウマの言葉が嬉し くて、メグルも泣きそうになっ た。

しかし今は、それを単純に喜べな いでいる。

昨夜メグルが思い知ったカナデの 苦しみ。

トウマはそれを知っているのだろ うか?


「……ありがとうございます、そ んな風に言ってくれて。

でも、トウマさんの夢を支えてき たのはあたしじゃなく、カナデ ちゃんですよね?

カナデちゃんは、ずっとトウマさ んの夢を応援してくれてたんです よね?

そういうの、考えたことあります か?」

「……そうだけど、カナデとはそ れだけの関係だよ。

愛とか恋なんて、とっくの昔に無 くなってる」

トウマは低い声で目を伏せる。

今はカナデの話などしたくない、 と言いたげに。

「本当にそうですか?

トウマさんは勝手過ぎま す……!」