幸せまでの距離


『これからも、そばにいてほし い』

思いがこもったアカネの声。

「……病院に行くのは、いいんだ けど」

『うん?』

リクは思い切って言った。

「俺、昔からずっと好きな子がい るんだ。

まだまだ片思いみたいなものなん だけど……。

その子のことだけ、見ていきたい んだ。

だから、アカネちゃんの特別な人 になることはできない」

『……そうだったんだ。

でも、何となくそうかなーとは 思ってた』

悲しみをこらえて明るく話そうと しているアカネに、リクは罪悪感 を覚えた。

「今まで、期待させるようなこと して、本当にごめんね……」

謝ることしかできない。

これが、アカネに対する精一杯の 誠意だった。

『いいよ。私、リク君に甘えすぎ てたね』

「そんなことないよ。

そういうことがあったら、しょう がないよ……」

『やっぱり、リク君は優しいね』

アカネの穏やかな声の中に、寂し さが見てとれる。

「……」

『お母さんにはうまくごまかしと くから大丈夫。

今までありがとう……。

リク君のこと本気で好きになる前 に、そう言ってもらえてよかっ た』


アカネが最後に言った言葉は、意 地だったのか本音だったのかは分 からない。

けれど、最後にしっかりアカネと 話ができて良かった。

メイのことだけ考えていく。これ からは。