幸せまでの距離


《着信中:南アカネ》

発信者の名前を見てリクは一瞬た めらったが、電話に出た。

「……はい」

『リク君、今、話しても大丈 夫?』

「大丈夫だよ。

お母さんの体調はどう?」

『ありがとう。昨日に比べると顔 色もだいぶよくなってきたよ』

アカネは今日、大学に来ていな かった。

母親の入院する病院に居たのだろ う。

『昨日リク君が来てくれたこと、 お母さんに話したら喜んでたよ。

リク君に、会いたがってた……』

彼女の意味ありげな言い方に、リ クは背筋を正した。

『リク君。……よかったら、ま た、会いに来てくれないかな。

一人だと、不安で……。

お母さんも、リク君の顔を見た いって言ってる』

それからしばらく、二人は無言に なった。

ショウマの言う通り、アカネはリ クに気がある。

この瞬間、リクもそれに気づい た。