幸せまでの距離


夕食を終え、リクは自室に戻っ た。

ソファーに座るなり、昼間ショウ マと話したことを思い出して胸が 痛くなる。

「ショウマんち、ずっとこのまま なのかな……」

ショウマは笑って平気だと言って いたけれど、リクの気持ちは晴れ ないままだった。


入学式の日、居酒屋でショウマに 見せられた傷跡。

あれは、同性しか愛せない自分に 苦しみつけた傷だと聞いたが、今 日彼から家族の話を聞いて、リク はそれだけが原因とは思えなく なった。

家庭の中で孤立していた苦しさや 寂しさ。

そういったどうしようもない感情 が、あのような形でショウマを傷 つけ続けたのではないだろう か……。

在学中の4年間は一人暮らしを し、卒業後も実家には帰らないと 言ったショウマ。

彼は同性愛者なので、この先好き な人が出来たとしても結婚はでき ない。

「……!」

ショウマが世の中を変えたいと 言った理由。

もしかしたら彼は、同性間の結婚 を認める法律が出来るのを望んで いるのではないだろうか?

リクがそんな考えを巡らせている と、ケータイが着信を知らせた。