幸せまでの距離


正美に促されるままリクがダイニ ングに行くと、すでに食事の準備 がされていた。

そこから見えるリビングのソ ファーには、父・義弘の姿があ る。

「ただいま」

リクが声をかけるなり、義弘は渋 い表情で振り返り、

「外泊するなら、一言くらい連絡 しなさい」

と、重厚な声音で注意する。

リクはまっすぐ義弘の目を見て、

「わかった。ごめん」

「まあ、分かればいい」

義弘も驚いたようで、正美と目を 見合わせていた。

照れたリクはダイニングテーブル の席に着き、

「食べていい?

いただきまーす」

と、普段通り料理を口にする。

「明日、雪でも降るんじゃない か?」

義弘はそんな冗談を言いつつ、席 に着いた。

いつになく、リクが素直過ぎるか ら。