幸せまでの距離




ショウマと別れた後、リクは一日 ぶりに自宅へ戻った。

昨夜、メイを探し回った後ショウ マのアパートに泊まったが、両親 には何の連絡もしなかった。

ケータイの充電が切れていたせい でもあるが、それ以上に、メイと 別れた影響で両親と話す気になれ なかった、というのが大きい。


昼間、両親から「連絡をよこせ」 といった内容のメールが届いてい たのを思い出しつつ、リクはイン ターホンを押した。

両親からのメールに返信しないま まこうして帰宅してしまったの で、顔を合わせたら間違いなく怒 られるだろう。

数秒後、中からあわただしい足音 が聞こえ、母・正美が出てきた。

彼女はリクを見るなり、

「メール見た?

昨日は連絡もしないで、どこに 行ってたの!?

お父さんも心配してたのよ?」

と、涙まじりに声を高ぶらせた。

今までのリクだったら、そこで反 発のひとつもしたかもしれない が、今日は違った。

「……ごめん。友達んちに泊まっ てた。

ケータイの充電切れて、連絡でき なかったから」

「そうだったの……。

それなら仕方ないわね」

正美はやや驚いた顔でリクを見て いた。

感情まかせに責めてしまったの で、てっきり反抗されると思って いたようだ。

リクはそんな母の気持ちに気付か ないフリをし、家に上がった。