幸せまでの距離


昔のことを思い出し、ショウマは 言った。

「今でも、ジャガイモ見るたびに 山本さんを思い出すよ」

「あはは、そうだよな。

あの時はビックリしたぞ」


山本とは赤の他人なのに、そうし た出会いがキッカケとなりいまだ にこうしてつながっていられる。

ショウマは不思議に思うと同時 に、こんな願望を口にした。

「ウチの親も、山本さんみたいな 人だったら良かったのになぁ ……」

しんみりしたショウマの心情を察 してか、山本は豪快に笑い、

「あっはっは。そうだなあ。

ショウマが息子だったら、こっち も楽しかっただろうなあ」

山本は、現在独身である。


山本の工場で働く社員の話による と、彼は一度結婚したことがある らしいが、当時の妻とは離婚して いるらしい。

山本はそういう話をあまりしたが らないようで、詳しいことは誰も 知らない。

社員達も、山本に雇われている身 ということもあり、そういった山 本のプライベートには極力踏み込 まないようにしている。


「でも、こっち来て楽しいことも 多くなったよ。

思い切って遠くの大学受けてみて よかった」

ショウマは、リクとの出会いにつ いて話した。

山本は嬉しそうな顔でそれを聞い ている。


そのあとショウマは、山本のおご りで焼肉屋に行き、夕食をごちそ うになった。