幸せまでの距離


山本が現れてくれたことで、ショ ウマはそのことを家族に知られず に済んだ。

店長にジャガイモ代を払うと、山 本はショウマを連れてスーパーを 出た。

「おじさん、ありがとう……。

お金出させてごめんね、高かった でしょ?」

恐る恐る山本を見上げるショウ マ。

山本はショウマの頭をなでて、

「いいよ。気にしないで。

おじさん、こんなんだけど社長さ んだから、お金はたくさんあるん だ」

「社長さんなの!?

ウチのお父さんも社長だけど、お じさんみたいに優しくないよ!」

ショウマは不満げに頬を膨らませ る。

山本は朗らかに笑い、

「社長さんにもいろんな人がいる からね~。

今度、ウチの工場に遊びに来るか い?」

「うん!! 行きたい!」

それ以来、ショウマと山本の交流 は続いた。

最初のキッカケはショウマが山本 の工場を見学しに行ったことだっ たが、それ以来山本は、ショウマ に良くしてくれた。

山本の工場で働く社員やパート は、年に一回日帰り旅行に行くの だが、山本は毎年必ず、それに ショウマを誘っていた。

ショウマの家族はショウマの予定 や人間関係に無関心だったので、 山本とショウマが交流しているこ とを知らない。

いまだに気付く気配もない。


父のワガママのせいで時に学校で 孤立することはあっても、山本が グチを聞いてくれたから、ショウ マは落ち込まずに済んでいた。