メイのことを、笹原に相談してみ ようか……。
ミズキが切り出そうとした瞬間、 1限目終了の時間になった。
「ああ、もうこんな時間か」
笹原は立ち上がり、壁にかかった 時計を見上げる。
「よかったら、またいつでも来て ね」
ミズキの悩みを気遣うように、笹 原は優しい笑みでそう言った。
「いろいろ聞いてもらって、あり がとうございました。
もし何かあったら、その時はま た、お願いします。
紅茶、ごちそうさまでした」
頭を下げると、ミズキは笹原研究 室を後にした。
結局、目的の本は探せなかった が、笹原と話していてミズキの気 持ちは上向きになっていた。
自分に、相談者を助ける気がある かないか。それが全て……。
今までモヤモヤしていた理由も分 かった。
ミズキはただ、焦っていたのだ。
リョウの時と同じ失敗を繰り返し たくない。
メイを救いたい。
そのために早く夢を叶え、一人前 になりたい、と……。
“焦ったらダメ。
今やるべきことをするん だ……!”
ミズキは夢への熱意を再確認す る。
現実は予想外のことの連続で気が 焦ることもあるが、今はとにか く、地に足を着けて前進しようと 思った。
いつか、笹原のような大人になる ために。


