「だよな、ごめん」
リクはくすぐったい気持ちでソワソワしていると、怒っているように眉間にシワを寄せているメイが、「じゃあね」と、リクの背中を両手で押しながら、玄関の外へ追い出そうとする。
「ちょ、待てって!
ごめん、ホント悪かった!」
リクは、メイを恥ずかしい気持ちにさせてしまったことに気付いて何度も謝り、玄関先でふんばった。
メイは、チャームポイントの腰まである長い髪をひるがえし、リクを玄関先に残して自室に引き返そうとしている。
リクはあわてて靴をぬぎ、
「メイと俺は両想いなんだって思ってもいいの!?」
と、メイの背中に呼びかけた。
「そういうことー」
だるそうな返事。でも、以前にはなかった柔らかい色を含むメイの声。
リクは立ち止まるメイの前に立ち、
「夢じゃ、ないよね?」
メイに、頬を強くつねってほしいとお願いしてしまう。


