あまりに長い無言。
向こうから聞こえてくるのは、わ ずかなざわつき。
公園か街の広場、ロータリーと いった場所からかけてきているの だろうか?
木が強い風で揺れるような音だけ が漏れてくる。
この電話は、本当にメイ本人がか けてきたものなのだろうか?
呼びかけても返事をもらえない。
メイの身に何かあったのだろう か?
リクはだんだん不安になってき た。
「メイちゃん?」
ショウマが小声で尋ねると、リク は動作だけでそれにこたえた。
メイの声を聞き漏らしたくないが ために、電話の向こうに意識を集 中させる。
しばらくそうしていたが5分ほど 沈黙が続くと、リクのケータイは 「ピーッ、ピーッ」と、不快な警 告音を鳴らした。
充電が残りわずかだと示すサイン なのだが、今のリクにとっては不 安を煽(あお)るものでしかな かった。
「メイ、みんな心配してる。
今、ショウマと一緒にメイを探し てるんだ。
迎えに行くから、どこにいるか教 えて?
もう、充電切れそうでヤバいん だ」


