「私、思ってた以上に邪魔者だっ たよね」
アイリが苦笑すると、ミズキは首 を横に振った。
「そんなことないよ。
アイリちゃんがいてくれたから、 リョウの本当の気持ちを知ること ができたの。
ウチの家族も、前に進めてる。
あの時、リスクもあったはずなの に、本当のことを教えてくれたこ と、すごく感謝してる。
本当にありがとう」
それでもまだ、アイリは不安げに ミズキとナナセを交互に見てい た。
ミズキは元気な声でそれを吹き飛 ばす。
「今は大丈夫だよっ。
本当の意味で、ナナセ君を信じて るから」
「そう、よかった……」
張り詰めていた空気は和み、アイ リも笑顔を取り戻した。
アイリの話が済んだことを雰囲気 で察しつつ、ミズキはケータイで 時計を確認する。
意外にも長い時間が過ぎており、 再び焦りを覚えた。
このビル群を縫うように流れる風 も、家を出た頃より冷たくなって きている。


