「そんなっ……。頭あげて?」
思ってもみなかった展開に、ミズ キは驚いた。
ナナセもうろたえていたが、アイ リは頭を下げたままの体勢で話し 続ける。
「……私ね、自分をごまかしてた んだ。
マサヤがミズキちゃんの弟をいじ めてたと知った時に、自分ではど うしようもなく、マサヤへの気持 ちが冷めてしまったのに……。
それでも、ずっと好きだった相手 だし、簡単に見捨てられないって 同情もあって、なかなか離れられ なかった。
それだけじゃなくて……。私 ね……」
そこまで言うと顔を上げ、アイリ はナナセを見た。
「ミズキちゃんから奪(と)る気 なんてまったくないけど、私、ナ ナセ君のことが好きだった」
「えっ……!?」
ナナセは動揺して頬を赤らめる。
「ミズキちゃん、ごめん……」
硬直しているミズキに、アイリは 謝った。
「ナナセ君も、いきなりこんなこ と言ってごめんね。
ずっと言いたかったんだけど、ナ ナセ君一人を呼び出すのは反則だ と思って……。だからミズキちゃ んの前でこうしたの。
でも、本当に何も望んでないか ら、それは信じて?」
そこまで口早に言うと、アイリは ミズキに向かって言った。
「マサヤと付き合い続けたのは、 そのせいなんだ……。
ナナセ君と付き合うことができな いのならこのままマサヤと付き 合ってた方が楽だし、一人で寂し い思いせずに済むって思った。
ヤケになってたんだよね……。
それが間違ってるって気付いたの は、つい最近」


