幸せまでの距離


ミズキはメイの本当の姉ではないが、実の母親·翔子よりメイのことを気にかけてくれた。

メイが穂積の姓(せい)を捨て星崎家の養子となった今でも、それは変わらない。


ミズキはメイの全身が異様なほど濡れていることに気付き、一旦部屋の明かりをつけた。

暗い室内はまたたくまに白い明るさへと変わり、二人ともまぶしさに目を細める。

「このままじゃ風邪ひいちゃうから、シャワー浴びよ?」

「うん……」

メイはミズキに促されるがまま、浴室へと向かった。

浴室にいい思い出が何一つないメイは、メイのシャワーが終わるまでリビングで待つと言ったミズキを引きとめ、「脱衣所にいて」と、頼んだ。

「わかった。ゆっくり入っておいで」

ミズキは特に追求することなく、すんなりメイの要望を聞き入れる。