幸せまでの距離


アイリはすでにジムをやめてい る。

不思議に思ったナナセは、

「どうして、アイリちゃんがここ に……?」

「どうしたんだろう?」

ミズキは穏やかに返しながらも、 アイリを見て胸がざわつくのを感 じた。

アイリもそのうち二人の姿に気付 き、

「よかった~! 会えて!

久しぶり!

二人とも、これからジム?」

と、柔らかい笑顔を見せた。

ふくよかだったアイリの顔は、以 前会った時よりも、心なしか痩せ ている。

「ううん、今日はたまたま別の用 事で通りかかったの。

アイリちゃん、私達を待ってた の?」

ミズキが尋ねると、アイリは恥ず かしそうにうなずいた。

「ミズキちゃんとナナセ君に、ど うしても伝えたいことがあって」

と、今日の夕方頃からここで二人 を待っていたと告げた。

「今はたまたま会えたけど、私達 が来なかったとしたら、アイリ ちゃん危なかったよ?」

ミズキは辺りを見回し心配した。

夜でも比較的人通りが多い場所と いえ、女の子が一人で出歩くには 心細いくらい、空は暗くなってい た。

もうすぐ雨も降り出してきそう だ。

それでもアイリが二人を待ってい たということは、彼女にとって、 二人にしたい話はそれだけ大きな ものだということ……。

それを察したミズキは、

「話って、何?」

と、自分を落ち着かせるべく静か に訊いた。