幸せまでの距離

二人が歩調を早めた時だった。

オフィスビルがまだらに建ち並ぶ 表通りに、よく知る男子学生の姿 を見つけた。

ミズキと同じ中学出身であり、 元・交際相手だった宮原ヒデト (みやはら・ひでと)。

ナナセは、ミズキとヒデト、二人 の様子を視線の動きだけでとらえ る。

ミズキはヒデトに視線をやってい たが、ヒデトはそれに気付いても ミズキに声をかけることなく、自 宅に続く歩道を歩いていった。

以前のヒデトなら、ミズキに対し フレンドリーに話し掛けてきただ ろうが、今は違う。

――ヒデトと最後に会った日、

ミズキは彼からこんな言葉をも らっていた。

『もう二度と、ミズキには関わら ない。

家も近いから、偶然どこかで会う こともあるかもしれないけど、そ れでも声はかけない……。

だから安心して。

幸せになれよ』

ミズキとヒデトの恋は大きな波を 起こし、静かに終わった。