母親が寝静まった夜中。
メイ以外の体温が布団の中に広がる。
「メイちゃん、もっと足広げて」
「いや……」
―――――。
「――…やだ、やめて!!」
まだ夜が明けきらぬ頃、メイは勢いよく目を覚ました。
夢の記憶が生々しく体を包み、現実との区別がつかない。
肩で呼吸をしながら薄暗い室内を見渡すと、ようやく自分が悪夢にうなされていたのだということが理解できた。
日なたの匂いがする柔らかいシーツのベッド。
汗だくのメイの隣では、一つ年上の姉·星崎ミズキ(ほしざき·みずき)が小さな寝息を立てている。
「ミズキっ……」
メイはミズキに抱き着き、安心感を得ようとする。
「ん……。メイ、起きたの?」
ミズキはトロンとしたまぶたをこすりながらメイを抱きしめ返した。


