幸せまでの距離

ホッとしたような、残念なよう な。

アカネはそんな気分で、遠ざかる リクの背中を見送った。

「……私の入り込む隙なんて、な いかな?」

病院の中庭まで来たリク。

薄暗い中、柔らかい蛍光灯の光だ けが頼りだった。

夜に見る校舎のように、病院の外 観はおどろおどろしい。

人の姿が全くないからか、冷たい 夜風がなおさら恐怖をあおる。

耳にあてたケータイの待受音が、 やけに大きく響いてくる。

しばらくして、相手が電話に出 た。

『出るの遅くなってごめん!』

リクが電話をかけた相手は、ショ ウマだった。

「ショウマ、あのさ」

『さっきはほんとにごめんな。

リクから電話してきてくれるなん て、思わなかった』

リクの言葉を遮るショウマ。

よくやく冷静になれたリクは、 ショウマに謝りたいと思って電話 をかけたのだった。

「俺こそ、動転してたとはいえ、 あんなこと言ってごめん……。

ショウマはメイのことを気にして くれたのに」

『ううん、俺の言い方が悪かっ た。ごめんな。

アカネちゃんのお母さん、大丈夫 なの?』

「うん。しばらく入院したら回復 するって」