幸せまでの距離

そんなリクを見てクスクス笑いつ つ、アカネは愛しげに続けた。

「リク君って、モテるでしょ?

私以外にも、こういう女友達いそ うだもん」

リクの脳裏に、メイの顔がよぎ る。

メイとは長年、幼なじみとして やってきた。

友達だとか、女友達だとか、分類 したことはないが、ここへ来て考 えてしまう。

まだ付き合っていないのだから、 彼女ではない。

好きだから《友達》にはカテゴラ イズできないが、どちらかという と《友達以上恋人未満》という方 が正しかった。

複雑な感情を抑え、リクは言う。

「長く付き合ってる幼なじみなら いるけどね」

「やっぱりー」

そう軽く返事をしつつ、アカネは 思った。

その幼なじみこそが、リクの本命 だ、と……。

リクの顔にそう書いてある。

それだけではない。

今まで何度かメールのやり取りを してきたが、何となく、リクには 壁を作られている気がしていた。

分かってはいるけれど、そうして 互いを知るうちに……いや。きっ と、初めて助けてもらった時か ら、もう、アカネにとってリクは 特別な存在だったのだ。

今日母が倒れた時も、こうして、 普段仲良くしている女友達よりリ クを頼っていた。

リクに心配されたい、駆け付けて ほしい、と、願う自分がいた。

「リク君、あのね……」

“もう少しだけ……。

ううん。明日の朝まで、こうして そばにいてくれないかな?”

アカネがそう言いかけたのと同時 に、リクは立ち上がった。

「……ごめん! ちょっと電話し てくる」