幸せまでの距離

菜月に連れられ市内の総合病院に 到着したリクは、アカネからも らったメールを見て、目的の病室 を目指していた。

消毒のにおいとひんやりした空間 は、緊張で張り詰めたリクの心を さらに締め付ける。

「リク君のお友達に気を使わせ ちゃうのも悪いから、私はロビー にいるわね」

そう言う菜月におじぎをし、リク はアカネに会いに行った。

病室に着くとノックをし、アカネ の返事を待つ。

少し待つと中から扉が開かれ、疲 れた顔のアカネが出てきた。

この病院には、いくつかのロビー がある。

二人は、菜月が待っている所とは 違うロビーで話すことにした。

この時間は見舞いに来る人も少な いので、全館節電モードになって おり、廊下はやたら薄暗い。

イスに座るなり、アカネは周囲を 見渡し、

「来てくれてありがとう。

リク君が来てくれたから、もう怖 くないよ」

と、甘えた顔をした。

ショウマの忠告が頭をかすめ、リ クはアカネから目をそらす。

「お母さん、大丈夫なの?」

アカネの顔を見ずにそう尋ねる。

「うん。しばらく入院しなきゃい けないみたいだけど、命に別状は ないって言われた。

過労だって……」

「そっか……。大変だったね。

でも、よかった。安心した……」

リクは素直に喜ぶ。と同時に、よ うやく冷静さを取り戻すことがで きた。

ここに来る前、ショウマに言って しまったことを思い出して、胸が チクリと痛む。