幸せまでの距離

――メイが幼かった頃。

気がついたら、いつもそばにリク がいた。

メイと家が隣同士だった彼は、メ イが実母の翔子に殴られているの を物音から察知し、必ずメイの元 へ駆け付けてくれた。

「娘にそんなことするわけない じゃない。

リク君のお母さんがリク君に優し いように、私もメイを可愛がって るのよ」

そんな翔子の言葉を疑い、幼き日 のリクはこう言っていた。

「メイ、泣いてたんじゃないの?

目、赤いし!

もう、メイに痛いことするのやめ てよ!!」

翔子に殴られている時、メイはわ ざと大声で悲鳴を上げることも あった。

そうしたら、必ずリクがやって来 てくれる。

リクが訪ねて来たら、一時だけで も、翔子の暴力・暴言から逃れら れるから……。

リクは翔子の薄っぺらいウソに丸 め込まれても、めげずにメイを助 けに来てくれた。

一時期、避難のために児童養護施 設に入ることになった時も、放課 後リクは、メイに会いに来てくれ た。

「メイが、夜、寂しくならないよ うに」

と、クローバーで作った冠(かん むり)をプレゼントしてくれた。

後で知ったのだが、その冠は、リ クが小学校の裏にある河川敷で 作ってきたそうだ。