幸せまでの距離

リクとショウマのやり取りを、菜 月をはじめみんながハラハラしな がら見守っていた。

こういう時、場を仕切ったり雰囲 気を持ち直してくれるシュンも、 残念ながらここにはいない……。

リクはやや間をおき、ためらうよ うに切り出した。

「アカネちゃん、お母さんと二人 暮らしなんだって……。

お父さんは中学の時に亡くなった らしくて。

親戚も遠くに住んでるって言って た。

頼れる身内がそばにいなくて、い ま、すごく心細いと思う。

じゃなきゃ俺にまで連絡してこな いだろうし……」

「そんなの、ウソかホントか分か んないじゃん!

リクに同情してもらうためにデタ ラメ言ってるのかも――」

ショウマはハッとし、口をつぐ む。

リクは鋭い目でショウマをにらん だ。

「まだそんなこと言うの?

ショウマ、ひどくない?

人の命が危ないっていうのに、そ れを同情引くための作り話だなん て、よく言えるね……。

見損なった……」

「リクっ……」

「すみません、車、お願いしま す」

リクはショウマを無視するように そう言った。

菜月は最後まで戸惑うような瞳を し、車を発車させる。

リクを乗せた車は、たった数秒で 夜の街道に消えていった。