感じる心を偽ることで、どうにか自分を守っていたメイだったが、
両親の離婚から数年後、彼女はさらに深い心の傷を負うことになった。
父親や“あの男”にされていたことの意味を知る。
自分は性的虐待の被害者だったのだと気付かざるをえなかった……。
それからメイは、毎日のように吐き続けた。
中学生にもなると、クラスの女子もグッと大人っぽくなる。
体の成長が著(いちじる)しいだけに、恥ずかしがりながらも仲の良い子同士、性に関する話をするようになる。
林間学校で生理になったらどうするか。
プールの授業で休んだら男子に詮索され嫌な気分になる。など。
メイと同じグループだった女子がこう打ち明けた。
「私、この前お父さんに胸触られたよ!」
「私もー! 成長加減をチェックするとか言ってさ!
あれ嫌だよね、ガチでキモい!!」
「マジでー? ウチは逆に、お父さんには避けられてるよー。なぜか」
この頃、同級生はメイが母子家庭だということを知っていたので、父親の話題を出したことをしきりに謝っていたが、メイは気にしなかった。
それよりも、自分は胸を触られる以上のことを実の父親にされていたという再確認をさせられたように感じ、呼吸が苦しくなった。


