幸せまでの距離


「なんかね、あの日からやたらメー ル来てて……。

最初はビックリしたけど、無視もで きないしさ」

リクは戸惑いがちに南アカネのこと を話した。

合宿後、アカネはたしかに《お金を 返したい》と、リクにメールを送っ ている。

だが、それだけでは申し訳ない、あ の時は緊急事態でリクがいなかった ら大変だった、ものすごく助かっ た、ゆえに礼として食事をおごらせ てほしい……と、提案してきたので ある。

「いくらお礼とはいっても、ご飯行 くのは断ったんだよね。メイが知っ たら絶対嫌な気持ちになると思う し。

そしたら……」

アカネは、リクと同じ講義をいくつ か取っている。

どこからそんな裏情報を仕入れてく るのか分からないが、リク達の授業 を担当している教授が出しそうなテ スト範囲や、出題問題のクセなど を、マメにメールで教えてくるよう になった。

「んなことしてないで、とっとと金 返してもらって終わりにすりゃいい じゃん。

引き延ばしてるからそんなことに なってんだろー?」

ショウマはアカネのメールを1つず つチェックしながら眉を寄せる。

その様子は、まるでリクの恋人のよ うである。

「そうなんだけどさ……。

アカネちゃん、人がいる所でお金の 受け渡しはしたくないって言って て。

教室とか学食だと絶対人目につく し、他のとこで二人で会うのも、 ね……」