メイがおもむろに体を起こすと、翔子の姿はなくなっていた。
翔子に脱がされた服を着ようとすると複数の傷に布が触れ痛みが走ったが、血をにじませながらも気力を振り絞って洋服を着る。
布地には所々血がにじみ、それはメイの心の傷をも生々しく表している。
もう学校では給食の時間が始まっているだろうが、そんなことどうでも良い。
意識を取り戻した瞬間、目覚めたくなかったと感じた。
“どうしてお母さんは、私と住んでるんだろう……”
服を身につけている限り、全身をナイフで切り裂くかのような痛みが、絶え間無く走る。
つらくてつらくて、メイの頬には涙がこぼれ落ちた。
“なんでこんな思いしなきゃならないの……”
数時間後、翔子が帰宅してきた。
グッタリ寝そべるメイを、まるで地面の石ころを転がすように足で蹴飛ばす。
「つう……!!」
苦痛の声がメイの口元から漏れる。
「邪魔!! どいて!
アンタだけの家じゃないのよ!!」
それからまた、メイは長い暴力を受け続けた。


