幸せまでの距離


「そういえば、金、返ってきた?」

ショウマの唐突(とうとつ)な質問 に、リクは小首を傾げる。

「何のこと?」

リクは、新入生合宿で同じ大学の女 子学生にお金を貸したことをすっか り忘れていた。

ショウマは「やっぱりな」と言い、

「財布無くしたアカネちゃんに、1 万貸してたじゃん」

と、呆れ返った。

「ああ、そのことね! 」

リクはそう言うとポケットに入れて いたケータイを取り出し、

「あの子とは普通にメールしてるか ら、そういうことあんまり考えてな かった」

「はあ!? 普通にメールして る!?」

ショウマはリクの手からケータイを ひったくり、素早い指さばきで操作 をすると、穴があくのではないかと いうほど画面を見つめた。

リクの受信メール一覧は、ザッと見 ただけで20件ほど南アカネからの メールで埋まっている。

勝手に受信メールを開いて見ている ショウマに、リクは目を丸くし、

「いきなりどうしたの? なに?」

と、ショウマの横から問題のケータ イを覗いた。