幸せまでの距離


それから1時間が経ってもミズキの 友人達は帰宅しそうになく、あらゆ る我慢に慣れていたメイも、ため息 をこぼしたくなった。

「はぁ……」

自分の家なのだからこんなところに 座ってないで、玄関の扉を開いて階 段を駆け上がり、自分の部屋に直行 すればいいのに、それが出来ない。

“こんな時リョウがいたら……な”

初恋の人を思い出し、メイの胸は懐 かしさと鈍い痛みに染められてゆ く。

リョウならば、真っ先にメイを見つ け、「こんなところにいないで、中 に入りなよ」と言い、メイを立たせ てくれるだろう。

しかし、リョウは空の中に溶けてし まった。

会いたいのに、もう二度と会えない 人……。

“もしリョウがいたら、私はこの家 に来てなかったよね……”

そんなつもりはないが、自分が存在 することでリョウの居場所どころか 命までも奪ってしまった。

メイの心には、常にそんな思いが沈 んでいる。

かといってグジグジ悩むのはメイの 性(しょう)に合わない。

昔から、湿っぽい雰囲気や深刻な話 は苦手だ。

気分を変えるために近所のコンビニ まで向かうべく立ち上がると、1時 間以上同じ姿勢でしゃがんでいたせ
 いか、軽くめまいがした。