幸せまでの距離

ざわついていた教室も次第に静かに なる。

学生達は一人取り残されたカナデを 気の毒そうに見やりつつそれぞれ帰 宅していった。

生徒達がいないガランとした教室の 真ん中で、カナデは悔しげに唇を引 き結ぶ。

今まではニコニコ愛想を振りまいて いればどんな相手でもうまく丸め込 めこむことが出来たのに、メイには それが通用しなかった……。

計算の狂いで焼けるようなストレス を感じていると、夢追い人・トウマ からのメールが届いた。

苛つきの混じったため息と共に画面 を開く。

《ごめんな、カナデ。

俺にはお前が必要だって、今回のこ とでよくわかった。

許して!!》

一方的な内容のメール。

カナデは鼻息荒くケータイの電源を 落として教室を飛び出した。

昨夜、トウマの浮気が発覚して以 来、彼とカナデの関係はギクシャク している。

入学式の日以来、メイを攻撃したい という気持ちだけで過ごしていたカ ナデだが、今はトウマのことだけが 頭の中を占めていて、それどころで はなかった。

気分的にひどく弱っている。

“何で? トウマ……”