幸せまでの距離


本当に大丈夫なのだろうか……。

メイの心から不安は消えず、バスタブの中の水量が増すほどそれも大きくなるが、

「大丈夫、僕に任せて」

近い将来父親になるこの男の言葉を信じ、頼ろうと思った。

それに、明日この頭髪で登校したら、絶対“また”、一人にされてしまう。

前の小学校で仲間はずれにされていたことを思い出し、メイは男と入浴することにした。


こうして大人の男とバスタブにつかるのは、両親の離婚前に実の父親と入って以来初めてのこと。

小さいメイの体と違い、男の体がバスタブに浸かると、ザブンと激しい音を立てて湯が外に流れ出る。

その感じが、たまらなく懐かしい。

“お父さんが帰ってきたみたい……”

かつて同じ屋根の下で一緒に暮らしてた父親のように、男も、メイの髪と体をすみずみまで丁寧に洗った。

くすぐったさを感じながらも、メイは小さな幸せを感じていた。

この時までは……。


メイがもう少し成長していたら、この浴室から飛び出していただろう。

いや、一緒に入浴などしなかったであろう。

幼さゆえに無知なメイの体を見て男は興奮し、大人に近づきつつある少女の体をなで回していたのだ……。