幸せまでの距離


男の看病のおかげで一週間近くで熱も下がり、メイは無事に学校にも行けるようになった。

新しい小学校の仲間たちは、転入早々長く欠席していたメイを心配してくれたが、一週間以上風呂に入っていないメイの髪を見て、ある女子が悲鳴をあげた。

「メイちゃんの頭、フケだらけだよ!」

「ウソ! 信じられない! なんで!?」

誰かが「風邪引いて寝込んでたんだから仕方ないよ」とフォローしたけれど、大多数が汚れたメイの頭髪を見て大笑いし、不潔で気持ち悪いと口にした。

メイは恥ずかしさと情けなさで反論する気にもならず一日をやり過ごし、トボトボ帰宅する。

“お母さんに殴られるよりマシだよ……”と、傷ついた気持ちを無理矢理胸の奥に閉じ込めて。