幸せまでの距離


ショウマの飲み残したビールが、ジョッキの中で泡立っている。

その白い泡が浮かんでは消えるリズムと重なるように、リクの鼓動は激しさと穏やかさの波に当てられていた。

「どうしてそんなに根詰めて考えるの?

ショウマ、苦しくないの?」

照明の関係で影におおわれたショウマの顔がひどく悲しげだったので、リクはそう言わずにはいられなかった。

「無理しなきゃ、ダメなんだ。

俺は、どうしても世の中の人に認めてもらいたいことがある。

それなら当然、俺も他人の考え方を受け入れなきゃ、フェアじゃないだろ?」

「そんな……。たしかにそうかもしれないし、ショウマの考えはまっすぐで立派だし、世の中のみんながそうなれば争いや差別も無くなるのかもしれない。

でも、それより先にショウマがまいっちゃうんじゃないの?」

リクはショウマの精神面の健康を心配した。

ショウマの思考は、まさに理想そのもの。

しかし、世の中にそう考えられる人物がどれほどいるかと考えたら、ショウマの方が圧倒的に不利だ。

自分が受け入れられないモノは拒否。

これがたいがいの人間が生まれながらに持っているもので、本能とも言える。