幸せまでの距離


“ショウマ、意外に力つよっ!!”

元バイト仲間が「酔っ払いの相手は疲れる」とグチっていたが、リクはぐったりしながらそれを実感する。

ショウマは酔っているのか、

実は酔ったフリをしているだけなのか。

リクはその見分けがつけられないでいた。

ショウマが言っていることは、シラフの時と変わらないからだ。

「ショウマはいろんなことちゃんと考えてて、すごいよ。

俺も見習わなくちゃな」

リクは自分に抱きついてきたまま離れないショウマの背中をなでた。

ショウマはそれがよほど嬉しかったのか、ゆるゆると頬をほころばせる。

今までよりも落ち着いた声のトーンで、

「リクの好きな人……。

メイちゃんのこともそうだし、自分とは違う他人の考えを理解できる人間になりたいんだ。俺は。

でも、嫌い、苦手って思うと、それすらできなくなる……」

「無理するなよ。そんなの、理解できることだけ理解したらいいじゃん。

俺達は神様なんかじゃない。

善良なだけではやっていけないんだ。

時には汚い感情を持つ。当たり前だよ……」

リクは自分を振り返ってそう言った。

……メイを騙した宇都宮誠二を排除したいと思ったことがある。

メイを踏み潰すだけ踏み潰してアッサリ捨てた穂積翔子が幸せになるのは、許せないと考えている。