幸せまでの距離



「人間って、つくづく傲慢(ごうまん)な生き物だよな」

とりあえず前菜程度の食べ物をいくつか頼み終え、リクがメニューをしまったのと同時にショウマがそうつぶやいた。

「傲慢、って?」

何の話か分からず、リクは首をかしげる。

ショウマは1番最初に運ばれてきたおしぼりで手を拭きながら、ため息まじりに言った。

「20年間生きてきて出した持論、とでもいうのかな。

俺もそうなんだけど、他人は自分の意見を主張し、それを人に押し付ける。

それって、『他人は自分のことを全て受け入れてくれて当然』ってことじゃん?」

「う、うん。そうかもね」

リクは話についていこうと、一生懸命耳をそばだてる。

「だろ? なのに、そう言う本人は、他人の全てを受け入れることができない。

気に入らない者や物を、自分の周りから遠ざけようとしたり、排除しようとする。

そんな感情こそが、世界中で戦争を引き起こしてる。

全ての争いの根本的な原因は、人間のそういう自己中さにあると思わない?」