幸せまでの距離


「メグルちゃんって、メイちゃんと真逆だね」

ショウマはどこか遠い目で、メグルが閉めた個室の扉を眺めている。

「メグルちゃんは、メイのこと気にかけてくれてるんだ」

リクは「やっぱりショウマは、メイのこと嫌い?」という疑問をギリギリのところで飲み込む。

メグルが作ってくれた穏やかな雰囲気を、もう壊したくない。

自分の意にそぐわないショウマの言動に対して神経質にならず、思いのままを主張できる。

リクは、そんなメグルが心底うらやましいと感じた。

“俺はメグルちゃんみたいに、大人になれそうにないよ……”

やや口数の減ったリクと、考え事で口をつぐむショウマ。


二人は成り行きまかせに、メニューを広げた。