「ところで、これなんだ?」
ジロがひらひらと見せ付けてきたのは、一枚の地図。
「それは、お父様が持っているもう一つの家の見取り図よ。どこにあるのか判らないけど、まあ別荘といっても良いでしょう。」
ジロは別荘という言葉に目を輝かせた。
「けど、まあ。中々見ない造りだよなぁ?」
確かに。
三階建てっぽいその建物は、大雑把過ぎてよく判らない。
場所も、そこらへん。としか書かれていない。
お父様らしいといえば、らしいのかもしれない。
「とにかく、それが一番怪しいのよ。」
その地図を小さく折り畳み、ロケットペンダントの中に差し込む。
「お前、それいっぱい持ってるよな。」
「え?」
「ほら、もっと大きくて鎖がついてないやつだよ。」
「・・・羅針盤のこと?」
「それだ!」
ジロに、ポケットから取り出した一つの羅針盤を見せる。
ジャポーナ(日本)から来たという商人が売っていたものを強請って買ってもらった。



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