それでもうっすらと埃は被っている。
その中で一箇所だけ、綺麗な場所があった。
「お前が座ったのか?」
「どうして?」
「綺麗になってるところの形がお前のケツと一緒・・・ウブシッ!!」
「レディーに向かって、ケツなんて下品な言葉使うから、天罰よ。」
分厚い、何かを投げつけた。
「大体、どうして私のお尻の大きさを知っているのよ?」
如何わしい視線を送ると、ちげぇよ、と返された。
相変わらず、口が悪い。
「この間姫様抱っこしてやったろ?そのときにちょっと、な。」
得意げになるジロの鼻をへし折ってあげたい。
それから同時に急所を蹴り上げて差し上げようか、などと考える。
ジロはただの変態だということを、ここ二年ほどでいやというほど知った。
大人の体になるたび、私の浴室に顔を出すコヤツ。
ジェントルマンを少しは見習いなさいよ。



![A CHEMIST‘S PANIC [短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre9.png)