知らない闇と、骸




「ようやっと動き出せるのか。」
ジロはうずうずしたように私を見た。
私はジロをみて一度頷くと、部屋の中に入った。

そこには誰もいない。
使用人も皆、すべて断ってしまった。
お金なら腐るほどあるし、六年前泣いたときの宝石はまだまだ残っている。


「よし、まず、どこから探す?」
「隠し扉のところ。」
「何で?」
「ちょっと、ね。」
意味深につぶやく私の後ろを首をかしげながら着いてくるジロ。


隠し扉の前。
扉の中には、沢山の本。

その奥。
一番大きな本棚を押す。



「さらに隠し扉かよ。」
本棚は後ろに下がり、床に開いた穴に沈んでいく。
その奥には、金の取っ手。むらの無く塗られた美しい漆塗りの扉。
私の手には鍵。
「まじかよ。」
扉の奥は、少し前まで人が住んでいたようなそんな空間。
「この間、見つけたの。」

掃除なんてしなくてもこの部屋は綺麗だった。