あたしは修人が話し終わると同時に、ケーキ屋をとびだした



「英子!待てよ!」



修人があたしの腕を掴む



「お願いっ!離して!」

「今行ったって、どうせ…」

「遅くったっていい!行かせてよ、修人!!」



あたしは修人の腕を振り切った



そして走り出した



「後悔したって知らねぇからな!」



背後から聞こえる声を無視して、あたしはがむしゃらに走った



…しない



後悔なんて、しない



3月だというのに、汗が有り得ないくらいに体から出てくる



どこにいるのかなんて分からない





でも、見つけられる気がした


今なら――



タタンッ



さっき、カイと会った場所に着いた



当然、カイはそこに居る外もなく――



「…やっぱ…駄目だったかぁ…」



肩で呼吸をしながら、近くを見渡す


すると、ざわざわと騒ぐ人達が大通りにいるのが見えた



「…?」



あたしは近付いてみた



「!?」



それは、道路に飛び散る大量の血が物語っていた



事故だ…

ここで事故があったんだ



あたしは少し複雑な気分になりながらも、他の場所を探してみようと向きを変えた



その時だった



ジャリ…



「…?」


何かを踏んだらしく、足をどけると同時に、心臓が大きく音をたてたのが分かった



十字架のペンダントが落ちていたのだ


そのペンダントは、カイがいつも身につけている物とそっくりだった

いや、まったく同じ物だった



「嘘…」



あたしはペンダントを拾い上げ、少し血のついた部分を見た



「…どうして…?どうしてカイが!?さっきまで、あんなに元気だったのに…」



笑ってたのに…





“バイバイ”



まさか本当にさよならなんて―――