じゃあ女の人は…?
あ…
あの人…
この前の…
そこにはカイとお似合いの彼女がいた
カイと抱き合っていた
カイは愛おしそうに彼女を抱きしめ、彼女の髪を撫でている
あんな表情…見せるんだ…
じんわりと視界が滲む
駄目…諦めなきゃ…
あたしは中庭に向かって走り出した
だが、上手く走れない
息が苦しい
胸が痛い
もう嫌だ 何もかもが嫌だ
ずっと一緒に居るって約束したくせに―
ウソツキ―
もうどのくらい走ったのか分からない
いや、たいして走ってないのかもしれない
感覚が分からない―
意識が朦朧とする―
頭が痛い―
のどのあたりが気持ち悪い―
吐きそう―
めまいがする―
カイの隣に居たかったな―
カイと一緒に居たかった―
ずっと一緒に居たかった―
その時 視界が暗くなって足の力が抜けた
あたしはそのまま真っ暗闇に身を委ねた
