「ああ、皆、あんなに元気な英子が休むなんて珍しい、何かあったんじゃないかってさんざん言ってた」
言葉の意味を理解した瞬間、あたしの目からは涙がドバァッと溢れ出した
「うぉっ!?ちょっ…英子?気分悪いのか?」
俯くあたしの顔を心配そうに覗き込む修人
「うっ…違…う……みっ…皆が…し、しんぱ…心配してくれるのがっ…うれ…しくて…っう…」
あたしは溢れてくる涙を一生懸命手で拭いた
「…そんなに嬉しかった?」
優しく微笑む修人
本当にあたしはなんて幸せ者なんだろう―
心配してくれる皆が居て―
あたしの事を思ってくれる人が居て―
これ以上の幸せは、きっとないかもしれない
あたしはうっうっとしゃくり声を上げ、修人の肩で気が済むまで泣いた
もちろん、学校は遅刻だった
でも、あたしが教室に入って行った時の皆の歓声を聞くと、そんな事はどうでも良くなった
たった一日でこの騒ぎようは何なんだ、と担任が言っていたけれど、そんなのお構いなしで皆があたしに喋りかけてくれた
でも、幸せは長くは続かなかった
あたしは忘れてた
夢のような幸福が訪れた後には、必ず地獄のようや不幸が起こる事を―
それはすぐそばまで近付いていた
