「…で、カイ君は英子の看病に来てくれてたって訳ね?」
お母さんは強めの口調でカイに告げた
「はい、そうです 英子さんが心配で心配で…でも熱は下がったみたいなので安心しました」
営業スマイル全開でそれに応えるカイ
「…そう…良かったわねぇ…英子?こんなに良い先輩が居て」
「えっ…えと…」
あたしがチラッとカイを見ると、笑顔を崩す事なくあたしにも笑い掛けてくる
「…あ…まあね…」
カイの営業スマイルに、不覚にもときめいてしまった自分を呪いながら言葉を返した
「ねえ、カイ君!夕御飯食べて行きなさいよぉ!」
どうやらカイはお母さんに随分と気に入られてしまったようだ
「いえ、これ以上英子さんに無理をさせるのも何ですし、今夜はこれで失礼させて頂きます」
「まあ〜!優しいのね!」
お母さんは表の顔のカイにメロメロ
あたしは玄関までカイを見送った
「じゃ、また明日…あ、キツかったら明日も休めよ」
「…うん…じゃあ…またね…」
カイはあたしに舌を見せて帰って行った
その日の夜は、カイにされた事ばかりが頭を巡って再び熱をだした
