FlowerRose




「…あたし…こうやってカイと一緒に居ると思うんだぁ…本当に…助かって良かったって…」



あたしがカイに目を向けると、カイは遠い昔を思い出すような瞳をして言った



「…でも…あれは、英子が助けてくれたようなもんだろ」

「…いや…それは、勝手にカイがっ…!」

「まぁ、どっちにしろ、助かって良かったって…オレは思ってるよ」

「…うん」





―――そう



あれは5年前―





カイが事故にあって県立病院に運ばれた日―



あたしがカイの手を握って自分の気持ちを伝えた時―



「カイ、大好きだよ」





ピーーッという機械音が響き、あたしは目を閉じてカイにお別れを告げようとした時だった―





…―ピッ、ピッ、ピッ





急に機械音がリズム良く、音を刻み始めたのだ



「…え?」



病室にいる人達は、皆驚きの色を隠せなかった





そして―





「…英………子…」





ただでさえ、皆が驚いているのに、カイは有り得ない事に言葉を発したのだ―



「嘘っ…!?カイッ!?」



「…ん……あれ?英子?」





酸素マスクごしに、ハッキリ聞こえてるカイの声―


まるで、事故に合って今の今まで、危篤状態だった人には思えない声―