「いつ来たの!?」
「ついさっき、仕事早めに切り上げて来た」
優しく微笑むカイが愛しくて、あたしはつい、抱き着いてしまった
「嬉しい!まさか来てくれるだなんて思ってなかった!」
「言ったじゃん、卒業式には絶対に行くからって」
「だって、仕事があるって言ってたから…」
あたしは唇を尖らせてカイを見上げた
「…英子…ちょっと場所変えようか…」
気付くと、回りの人達数名があたしとカイに注目していた
「…あ…ごめんなさい…」
カイの腰に回していた腕を離すと、あたしは恥ずかしさのあまり俯いてしまった
「ほら、行こ?」
ニッコリと笑って、あたしを人気のない屋上へと連れ出す
「うわ〜…なんか屋上来ると思い出すね〜…」
中学校の屋上ではなかったが、作りがそっくりな為、つい、屋上での行為を思い出してしまう
「卒業…淋しい?」
カイがさりげなく話題をそらす
「…うん…少し…」
「…そりゃそうだよな…」
あたしとカイは空を見上げた
青い空は、私達をどこまでも吸い込んでいきそうで―
どことなく淋しい気持ちさせる
