FlowerRose



英子は、俺の告白を笑顔でOKしてくれた



俺は馬鹿正直に喜んだ



英子がOKしてくれた、英子はずっと俺の事が好きだったんだって、勘違いしてた



裏では他の誰かを想っていただなんて、ほんのこれっぽっちも考えやしなかった





能無しだったんだ…





英子は着ていたブラウスで涙を拭って、アイツの手を再び握り返した



「カイ…あたし…笑ってるよ?…約束…したもんね…笑ってるって…」



そう言って、英子は今までで見せた事のない、大人な、でもどこか無邪気な、天使のような微笑みを見せた



もちろん、俺もそんな微笑みを見るのは初めてだった



まさか、初めて見る英子の心からの笑顔が、他の男に向けてのものだったとは…



俺はひどいショックを受けた



周りの人達も、皆英子の笑顔に魅了されている



「カイ…よく頑張ったね…あたしはもう…さよならなんて怖くないよ…あたしの心の中に、カイはずっと生き続けてるから……『英子』って言って、笑ってるから…」



英子は何かを決心したかのように、そう言った



そして、女の顔をして、



「カイ、大好きだよ」



英子は呟いた







…そうだ…



英子がずっと見てたのは俺じゃない…





英子がいつもその目で追っていたのは…










一条………





一条カイだったんだ…





そして病室には、ピーーッという別れを告げる機械音が鳴り響いた