放送部からお伝えします

「いいよっ! ……お父さん、待ってるでしょ?」


竜也がどっちのことを思ってたか知らないけど、とにかく送ってくと言い出した竜也に遠慮した。

竜也ん家は、アイツらみたいにあたしと隣同士なわけじゃないし……。


「……こんなにヒョロッこいけど、彼氏の義務くらい果たせますよ〜?」


竜也は、地面に置いておいた袋2つを片手で持ち上げ、頬を上げて見せた。


あたしも手を握り返して歩き出す。

ケータイをカバンにしまおうとすると、あることに気付いた。



……生徒手帳がない。


たぶん転んだときに落としてしまったんだろう。

別によく生徒手帳を使うわけでもないし、無くしたと言って作り直してもらえばよかった。


だけど、あたしの頭が無駄に回転してしまった。


転んだときに落ちたってことは、rlappの中。


あの中にはヤバイ人達が大勢いる。


生徒手帳には、ケー番、メアドの他、学校、住所、家電などが書いてある。



瞬間的に、拾われたら危険だと思った。



「梨衣子!?」


竜也の驚く声も耳に入らず、ただ“危ない”という考えだけが、あたしの体を動かした。